gary1212のブログ : マレーシア、イポーでの生活。

滞在期間がマレーシア以外の時も 含んでいます。

マレーシア-イポー長期滞在生活での日常での出来事を書いてます。

ブログの目的は、もっぱら自分自身用の日記です。

不特定多数の方に情報を早く正確に伝達したい というつもりでは全く書いていません。

このためローカルの友人からもらった情報で、それが不確実な情報でも 私が関心を持ったものは 書いています。

繰り返しますが 読者のみなさんへの確実/正確/迅速な情報提供をしたい と思って書いているのではありません。

それじゃ困る と思う方は どうぞ 読まないでください。

よしなに。

マレーシア現代史 1 ( マミンコ スキャンダル; 丁寧語の オ をつけると オマミンコ スキャンダル になります。 )



10/1 のブログ記事 「お妾さん 通り」で 次のように書いた。

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繁栄を極めていたイポーが一気に萎んでしまい お妾さん通りも寂れてしまった原因となった【 マミンコ 事件 って なんだろう。 調べてみよう。 】

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いささか日にちが経ってしまったが、今回のブログ記事は そのフォロアップ記事だ。



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日本では 国会議員の不倫スキャンダルを マスコミが熱心に報道している。



あそこ の自己管理 / 自己統制 をしっかりできない人間なんぞは、あそこ以外もだらしないに決まっている、そんな人間に 大事な政治を任せるわけにはいかない という考えかたが 近年 どんどんと 強まってきているのだ。





他方、マレーシアでは、そのような 不倫スキャンダルのマスコミ報道はあまり見かけない。



マレー系 ( ムスリム ) には一夫多妻(注)が認められているので、不倫はマスコミ受けしない ということなのだろうか。


(注) 複数の妻を平等に扱えるだけの経済力があるなどの条件を満たせば、4人までの妻帯が許されている。つまりお金持ちだけに認められる特権である。なお、シリア内戦のように男性が多く亡くなった社会では一夫多妻は極めて意味のある制度であるという説もあるようだ。しかし これは、なんだか変なこじつけだ。マホメットの時代から 戦争ばかりして しかも いつも負けてばかりで 男の数が少ない社会なので 一夫多妻が必要なのだ、ということになってしまうからだ。






しかし このブログで 不倫の研究記事を書けるほど その方面には、私は 知見がない。



今回は、マミンコ スキャンダル についてであり、このスキャンダル は 不倫とは無関係であり、あそこ の話ではないのだ。


だから オマミンコ 事件 と言い変えたとしても、フラメンコに丁寧語の オ をつけて オフラメンコ となることと同じで 特段の意味はない。








さて 「 マミンコ 」スキャンダルだが、このスキャンダルの詳しい内容は 実は よく解明されていない。






各種の資料を読んだところを整理すると どうやら 次のような概要らしい。



1) マレーシア政府が 極秘に 錫の国際価格操作用 に設立したペーパーカンパニーがあった。


2) その会社の名前が マミンコ社。


3) マミンコ社は、ロンドン市場で 先物売買および現物売買操作をして 錫の相場価格を上昇させることに一旦は成功した。


4) しかし 相場価格の上昇に伴い 生産量も増加してしまい 米国が錫在庫の放出をしたところから 錫価格は暴落してしまった。(この影響で錫鉱山で栄えたイポーも 死んだ街に変わってしまった。)


5) マミンコ社の決算書は 会社法の規定に関わらず提出されていなかった。


6) マミンコ社は ブミプトラ銀行からのファイナンス(借入)をしていたのだが、錫相場操作の失敗で莫大な損失を抱え、ますます借入金は膨らみ そして返済困難な状況に陥った。


7) マミンコ社の決算書は提出されない状況が続いていたので、これらの財務状況は秘匿されたままだった。


8) 弱った政府は、もう一つ 別のペーパーカンパニー(マクワサ社)を作って 、マミンコ社の損失を その新ペーパーカンパニーに飛ばした。いわゆる飛ばし操作だ。


9) その飛ばし操作の具体的なスキームが 実は よくわからない のだ。どの資料(記事)を読んでも ハッキリしないのだ。


10) 仕方ないので 大胆な推測をしてみた。 以下は 単なる私の個人的推測に過ぎないので そのつもりでお読みくださいねー。


11) 「マミンコ社増資+マクワサ社株式への交換 」(← このこと自体もハッキリ書いてないのだが) の過程で 額面割当と時価との乖離を利用したスキームのようだ。 こうしてマミンコ社の決算内容を粉飾改善し、(おそらく債務超過を解消した形にしたのだろう) 、増資の引き受けでは マレー系の人々のための雇用年金基金の財源が 使われて その増資資金でブミプトラ銀行からの借入金を返済した のじゃないか、と思われるのだ。 ブミプトラ銀行へ返済をしないと、銀行自身が債務超過で銀行倒産になり 金融不安を引き起こすことから 何がなんでもマミンコ社からブミプトラ銀行へ借入金返済を完了させる必要があったのだろう。


12) じゃあ 飛ばしを受けた マクワサ社 の方は どうなってしまったのだ、という疑問が残る。多分、マミンコ社の設立根拠法となった一般的な会社法とは異なる形式での設立がされ、その後の清算処理は極秘処理されたんだろう、政府が補填する形で。


13) 結局、マミンコ社を経由してマクワサ社に飛ばされた 錫相場操作失敗の莫大な損失は、政府が運用する資金の性格を有する雇用年金基金の財源を充当することで 糊塗した ということなのじゃないだろうか。


14) このマミンコ事件が明るみに出たのは マハティール政権になってからだが、前政権時代にこの錫相場操作と その失敗が明確になり、政権を引き継いだマハティール政権が事態の収拾に乗り出した らしい。 いや そうではなく、マハティールが政権を担当してから このマミンコ社を設立して 錫相場操作をやり始めたのだ、という説もある。 ( マミンコ社の設立時期について、マハティールが副首相の時に 内閣の閣議で決定して設立した と書いてある資料もあるし、そうではなく、マハティールが首相になってから設立したと書いてある資料もある。 なんだか 謎の多いペーパーカンパニーなのだ。)




残念なことに マレーシアでは この種の ファイナンシャル・スキャンダルが 非常に多い。


最近では、なぜか急に、政界やマスメディアで、 頻繁に、マハティール政権時代の 中央銀行巨額FX損失(外為損失)が スキャンダルという表現で 取り上げられたりしている。


そして現在は、1MDB スキャンダル だ。


ただし、1MDBスキャンダルは FX損失事件やマミンコ事件とは根本的な性質の違いがある と言われている。


それは、FX損失や錫相場操作損失が 政策上の行為(投機行為/投機対抗措置行為)の失敗から発生した損失であるのに対して、1MDBスキャンダルは そのような政策遂行行為とは無関係で、公的資金が不透明な流れにより 消滅してしまったというスキャンダルだからだ。



もちろん 錫相場を操作しようとするような国家政策は 自由競争市場原理を最優先する自由経済の世界では、褒められるものじゃないが、アラブ諸国がOPECを通じて 原油価格操作を図ったりしたことを思い出すと、他国の利益を害してでも自国利益の極大化を図る事例は 自国民のため という大義名分がある。






以上 (10/14記)