gary1212のブログ : マレーシア、イポーでの生活。

滞在期間がマレーシア以外の時も 含んでいます。

マレーシア-イポー長期滞在生活での日常での出来事を書いてます。

ブログの目的は、もっぱら自分自身用の日記です。

不特定多数の方に情報を早く正確に伝達したい というつもりでは全く書いていません。

このためローカルの友人からもらった情報で、それが不確実な情報でも 私が関心を持ったものは 書いています。

繰り返しますが 読者のみなさんへの確実/正確/迅速な情報提供をしたい と思って書いているのではありません。

それじゃ困る と思う方は どうぞ 読まないでください。

よしなに。

ナジブの反論 ( これって典型的な不良債権処理手法じゃないの。)




ナジブ 前首相が 1MDBの巨額負債問題について反論している。




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https://www.nst.com.my/news/nation/2018/05/373366/najib-lim-misleading-people-saying-1mdb-had-be-bailed-out


Najib: Lim misleading people by saying 1MDB had to be bailed out


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要点はこうだ。


1) Former prime minister and finance minister Datuk Seri Najib Razak said, in accordance with the reco「mmendations of the Public Accounts Committee (PAC) Report on 1MDB, all of 1MDB's valuable and strategic real estate assets were transferred to other companies owned by MOF Inc.


PACの勧告に基づき MOF 傘下の会社に (優良)稼働資産を移管した。


2) Over time, these prime real estate assets can be worth up to more than RM30 billion.However, although MOF Inc took over the assets, the debt or liabilities of 1MDB remained in the company.


だから 1MDBには (カスの不良資産と) 負債だけが残った。


3) “Accordingly, the arrangement, as I can confirm, is for MOF Inc to service 1MDB debts, but in return for taking over the assets.


MOF への稼働資産移管は 1MDBの負債を弁済することを目的としたアレンジメント(arrangement、スキーム)だった。



4) Put another way, had those assets remained in 1MDB, it could have developed and sold the assets on its own, and used the proceeds to pay its debt,”


言い換えれば もし 稼働資産が1MDBに残っていれば、1MDB自身で 業務展開を進めて 付加価値を高めた段階で外部売却し、その売却代金で負債の弁済ができる ということだ。


5) MOF Inc took over assets and it must be responsible for the liabilities – that is the only correct way, legally and accounting-wise


1MDBに残っている負債サイドだけを取り上げて騒いでいるのは 政治的謀略であり、国民をミスリーディングするものだ。法律的にも会計的にも MOFが 1MDBの負債に対する責任を持つ という処理がされるべきなのだ。



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このMOFへの稼働資産に移管スキームだが、かつて日本でも欧米でも 銀行など金融機関が 金融危機に陥った際に 「 Good bank , Bad bank 方式」として取られたスキームと同様なものじゃないだろうか。



不稼働資産と稼働資産をひとつのエンティティーに残して置くと 「不稼働資産および負債」からの負担が 「稼働資産」にもダメージを与える、つまり一家のうち 孝行な次男の稼ぎを 不良の長男が食いつぶす、ことになる。


だから 孝行な次男を独立させてしまい、 不良長男は親と一緒に破産/清算処理に進む、 その際 独立した次男に債権者が押し寄せないようなスキームを組むのだ。



これが 確か スウェーデンだったと思うが 「グッドバンク vs バッドバンク」方式として最初に考え出され、そのあと 欧米や日本での金融危機処理でも採用された。


非常にテクニカルな法律/会計 処理が適用させるこより、独立した次男には 債権者は手が出ない ことになる。



SPC/SPE とか 実質支配力基準 とか 真性売買 とか 連結除外 とか 、色々と高度なテクニカル処理がつぶさに検討されて スキームは完成していくのだが、ここらあたりは ゴールドマンサックスなどの投資銀行が 専門の弁護士/会計士を交えて 練りに練ったものを クライアントに提案していく。




1MDBと MOFについては 具体的にはどんなスキームが採用され また 適用される法律や会計基準がどんなものなのか は知らない。


でも多分 英国法の影響を受けたマレーシアの法律は 「再建/破産」関連分野も おそらく欧米や日本の法体系に類似しているだろう。


また 会計基準も特殊な公会計ではなく、ましてや イスラム法理とイスラム会計ということで アッラーの神のもと、孝行次男と不良長男 の引き続き資産の処理が決定されるわけではないだろう。





全くの憶測でしかないのだが、1MDBの債権者がグローバルベースで存在するのならば、今回の1MDBとMOFとの間での稼働資産移管取引も グローバルベースで通用するスキームにすべく、ゴールドマンサックスなどの投資銀行のアドバイスをもらって 策定されたものじゃないだろうか。



となると 、 ナジブ の言う「法律的にも会計的にも MOFが 1MDBの負債に対する責任を持つ という処理がされるべきなのだ。」という反論は 無力になる。




以上 (6/7 記)