「宇沢弘文の数学」本で勉強: (1)貨幣保有: 限界効用の非飽和性 と ゴーン元会長、(2) 消費: 限界効用逓減の法則と ナジブ元首相の妻ロスマ
『宇沢弘文の数学』 小島寛之著 : ライフ : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
https://www.yomiuri.co.jp/life/book/review/20181016-OYT8T50098.html
「宇沢弘文の数学 」を読んだ。
昔 勉強した なぁ 、、、 と思い出しながら 統計的推計、 確率、仮説検定、帰無仮説 、最尤原理、と読み進んだら、 ビッグデータ論における母集団の事に言及していた。
母集団とは架空の存在であり 如何にビッグデータが膨大なデータ数であっても 母集団の定義には該当しない という。
ビッグデータでさへも 確率モデルという無限の数の集まった集合から観測されたごく一部の標本に過ぎない 、背後にある母集団は 人間の嗜好や行動様式、戦略を反映するような確率モデルである、 と書いてある。
そう言われると その通りだ。なるほど 納得だ。誤解していた、と言うか、そこまで考えたいなかった。
AIによるビッグデータ分析で、従来の統計的推計に頼らなくとも これからは母集団そのものを解析することができると思いこんでいたが、母集団の定義を再考すると ビッグデータと言えど 推計統計の限界を超えることはできない とも指摘している。
勉強になる。
その後続く ゲームの理論、ナッシュ均衡、と勉強しながら読み進んだら、懐かしい 「ナイトの不確実性 」にも触れていた。
フランクナイトって、リスクと不確実性の峻別で 有名で、金融危機の時 話題になったテールリスクとか ブラックスワンに関係する内容だ。
この本を読んで知ったのだが 「小野理論 」というのがあるそうだ。
小野善康 というマクロ経済学者の学説だ。
ケインズの 「流動性の罠」では 説明しきれない長期不況 を 小野理論を用いれば 説明できる という。
こんな事が書いてある。
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小野理論の特徴的なのは お金などの資産保有にも効用がある と仮定する点だ。
お金の保有には 二つの意義がある。
第一は 消費を将来に延期し価値を保蔵すること。
第二は 資産を保有することから直接の効用を得ること。
消費には限界効用逓減の法則が働き、追加的な増加がもたらす効用の増加量は どんどん低くなって いずれゼロににじり寄る。
他方 貨幣保有については その追加的な増加がもたらす効用の増加は それがある正の値に達すると低下しなくなる (限界効用の非飽和性)がある。
つまり 消費には飽きるが カネには飽きが来ない という仮定だ。
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消費に関して 限界効用逓減の法則が作用することは 実感として納得できる。
世の中には ナジブ元首相の妻のロスマとか フィリピンのイメルダのような 人もいるが 例外だろう。
でも 貨幣保有に関して 限界効用の非飽和性がある という点は どうも納得できない。
そりゃぁ 中には カネには飽きが来ない という人もいるだろうが、多数派じゃない と思う。
世の中 日産のゴーン元会長のような人ばかりじゃないはずだ。
普通の人は 「ゴーンさん あんなに報酬もらって どうするんだろう、私なら 充分な貯金になれば それ以上 欲しいとは思わない けど なぁ」と考えるのじゃないだろうか。
以上 (12/19 記)
蛇足
学問の世界では 仮説を立てて それを実証するという作業手順が一般的だが 仮説の中には 驚くべきものがある。
この進化学者の仮説には本当に驚いた。(特に 最後の部分)
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