gary1212のブログ : マレーシア、イポーでの生活。

滞在期間がマレーシア以外の時も 含んでいます。

マレーシア-イポー長期滞在生活での日常での出来事を書いてます。

ブログの目的は、もっぱら自分自身用の日記です。

不特定多数の方に情報を早く正確に伝達したい というつもりでは全く書いていません。

このためローカルの友人からもらった情報で、それが不確実な情報でも 私が関心を持ったものは 書いています。

繰り返しますが 読者のみなさんへの確実/正確/迅速な情報提供をしたい と思って書いているのではありません。

それじゃ困る と思う方は どうぞ 読まないでください。

よしなに。

パナマ文書/パラダイスペーパー ICIJ ( 租税回避国 ブラックリスト)




Effective EU tax haven blacklist must include at least 35 countries, Oxfam says | Oxfam International


https://www.oxfam.org/en/pressroom/pressreleases/2017-11-27/effective-eu-tax-haven-blacklist-must-include-least-35-countries



国際間の税制の違いを利用して税金を不公平に回避できるような国は ブラックリストに登録して 監視強化のうえ、場合によっては 税法自体を改正するようにすべきだ、 という提案が出ている。






例えば A国とB国の間の大きな税率差があると、利益の付け替えをすることにより 税回避ができる。



B国に設立したグループ会社から借入をしておけば そのグループ会社に借入利息を支払う ことにより、A国で稼いだ利益は 利息の支払い分だけ 少なくなる。


極端な場合、A国にある会社が B国の会社から高金利で莫大な借入をしておけば、支払利息で 利益をゼロにできる。


他方、B国では グループ会社は それと同額の受取利息が発生し、利益となるので、税金の支払いが必要になる。


でも B国の税率が低ければ、A国で そのまま 税金を支払うよりも 全体としては 少ない税金で済む。


そして B国のグループ会社は 余った余剰資金を、 また A国の会社に貸し付ければ、この節税サイクルは ずーと続く ことになる。




基本形は こんなところだが、別に 借入にしなくても、 ロイヤリティでも良い。


国境を挟んだグループ会社間での部品の調達価格を調整することでも良い。





このように グループ内での 国際間取引を利用する租税回避には 色々なスキームがあるが、いずれも最終的には 税率差を利用するのだ。


一応 移転価格税制 とか タックスヘイブン税制 というものもあるが、これらを掻い潜る(かいくぐる)スキームを構築するのに Big4 と呼ばれる国際会計事務所の税務部門とか、国際税務専門の弁護士が利用されている。


なお 利益や取引自体を隠蔽したり、架空経費を計上するのは 脱税スキームであり、節税スキーム(租税回避)には 含まれない。





同じような経済活動をして 同じような利益を稼いだら、同じような税金を支払うべきだ、 それなのに一部の企業や個人が 国際間の税制相違を利用して 全体税額を減少させる行為を行うことは 不公平だ、 というのが パナマ文書や パラダイスペーパー の基本思想だ。


だから 課税対象を統一した上で税率差を無くしてしまうように 国際間の調整が進めば 過度な節税スキームはなくなる という提言が出て来るのだ。





ブラックリストの候補国は 以下のとおりだ。


(1) 非 EU 国


The 35 non-EU countries that should feature on the blacklist are as follows.

An * indicates a conduit tax haven.



Albania

Anguilla

Antigua and Barbuda

Aruba

Bahamas

Bahrain

Bermuda

Bosnia and Herzegovina

British Virgin Islands*

Cook Islands

Cayman Islands

Curaçao

Faroe Islands

Former Yugoslav Republic of Macedonia

Gibraltar

Greenland

Guam

Hong Kong

Jersey

Marshall Islands

Mauritius*

Montenegro

Nauru

New Caledonia

Niue

Oman

Palau

Serbia

Singapore

Switzerland

Taiwan

Trinidad and Tobago

United Arab Emirates

US Virgin Islands

Vanuatu


(2) EU 国


The 4 EU member states that should be blacklisted if the EU were to apply its criteria to its own member states are:

1. Ireland

2. Luxembourg

3. The Netherlands

4. Malta





幸い マレーシアは 候補になっていない。


マレーシアは MM2H にとり 年金は無税 (日本マレーシア租税条約) なのだが、 これも パナマ文書やパラダイスペーパーの観点からは、不公平なので 課税検討するなんて ことになると困る。


でも パナマ文書などは 大金持ち がターゲットなので、そんな心配は杞憂だろう。






Paradise Papers' reporters tell European Parliament about the 'Pick’N’Mix’ of legal jurisdictions


https://www.icij.org/blog/2017/11/paradise-papers-european-parliament-pana-committee/




ICIJ の主張は 次のセンテンスに良く表れている。


This aggressive tax planning is even more shocking because a lot of it is legal,” he said.

“We can’t accept the way things are at the moment. If the law allows this, we need to change the law.



租税回避のスキームのほとんどが合法だとしても 公正じゃないことが許せない。 だから法律を変更して、租税回避スキームを画策すること自体を非合法になるようにするべき、という考え方なのだ。



どうなんだろうか、この主張って。


税制をどうするか は国家主権に関わる事だ。


国家という存在がある以上、 各国ごとの税制があり、その結果 生じる国際間の税制差異を活用して 企業や個人は国際税務の専門家を使って 租税回避スキームを練る という順序なのだ。


ICIJ の主張は 極論すれば 全世界統一/単一国家 でない と達成できない 主張なのだ。



以上 (12/5 記)