定義の背景 ( 置換による定義でSgn偶奇符号が必要になる理由)
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3つの定義
1) 置換による行列式の定義
2) 行列式の3つの性質
性質1:単位行列 I に関して det I = 1
性質2(交代性): i 列と j 列を交換すると行列式は−1倍される
性質3(多重線形性):一つの列以外固定して一つの列の関数と見たときに線形性が成立する。
逆に上記の3つの性質を満たす関数は行列式のみである。つまり行列式とは上記の3つの性質を満たすものと定義することもできる。
3) 体積
列 A を縦ベクトルを n 本並べたものと見て、ベクトルたちが張る平行六面体の体積は行列式(の絶対値)と一致する。 ( 平行四面体の面積は行列式の絶対値と一致する。)
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「行列式1(置換)」
「行列式2(3つの性質)」
「行列式3(体積)」
の定義はいずれも同値。
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何で行列式を置換で定義することができるんだ?
行列式と置換で全く関係のない概念じゃないの?
実は「行列式が何故か置換で定義できる」のではなくて、「行列式をうまく定義するために置換が必要だった」のだ。
というのも、元々行列式という概念自体は存在していて、2次の行列式と、3次の行列式がどういう形になるかは分かっていたのだ。
そして、4次、5次と求めていくと、行列式がある法則に従っていることに気づき、それをうまく数式化するために「置換」の概念が必要だったというわけ。
つまり 行列式の性質をうまく表すために、置換の定義による数式上では符号を必要とした、ということらしい。
以上 (2/21記)